原油価格、アジア市場で上昇
水曜日、イランとイスラエルの停戦状況を市場が注視する中、原油価格は上昇した。ただし、供給の途絶が起きないとの見通しから、価格はここ数週間の安値付近にとどまっている。
ロンドン市場のブレント原油先物は、グリニッジ標準時午前3時41分時点で1バレルあたり85セント(1.3%)上昇し、67.99ドルとなった。米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油も87セント(1.4%)上昇し、65.24ドルを付けた。
前日火曜日には、ブレントが6月10日以来の安値、WTIは6月5日以来の安値で取引を終えており、いずれも6月13日にイスラエルがイランの主要な軍事・核施設に奇襲をかける前の水準だった。
一時的な高騰とその背景
JPモルガンのアナリストは顧客向けメモの中で、「イスラエルとイランの停戦を受けて、エネルギー価格は落ち着きを取り戻している。ファンダメンタルズに基づけば、世界の原油供給は十分であるというのが我々の基本見解だ」と述べている。
脆弱な停戦と再燃の懸念
一方で、火曜日にはイランとイスラエルの両政府が空爆の応酬を停止したと示唆しており、米国のドナルド・トランプ大統領が停戦違反を公然と非難した後、緊張が一時的に緩和された形となっている。
しかし、ANZリサーチのアナリストは最新のリサーチレポートで、「先週の米軍による3カ所のイラン核施設への攻撃は、イランの核開発に数カ月の遅れをもたらしたが、それ以上ではなかった」としたうえで、「この地域における緊張の再燃リスクが依然として存在する」と警告している。
供給への影響懸念が価格を押し上げ
アジア市場では、イラン・イスラエル間の衝突再燃による供給不安が原油価格を押し上げた。特に停戦合意の直後にも両国が相互に攻撃を行ったとの報道もあり、停戦の持続性に対する疑念が広がっている。
アジアの早朝取引で、WTI原油の直近限月先物は1.0%高の65.04ドル、ブレント原油は1.1%上昇し67.86ドルとなった。地政学的リスクと供給動向への不安が、引き続き市場の大きな関心事となっている。