小型SAR衛星の開発と製造を手がけるQPS研究所(証券コード:5595)の株価が、11日の取引で急落した。午前9時48分時点で、前日終値比253円安(16.4%安)の1,291円を記録し、投資家の間で強い売り圧力がかかっている。
この急落の背景には、同社が10日引け後に発表した通信系統の不具合に関する情報がある。問題が発生したのは、2023年12月に打ち上げられた同社の第5号機で、地上との通信を担うシステムに障害が見つかった。特に、衛星側の送信装置に異常が確認され、今後のサービス提供に支障をきたす可能性が高いとされている。
QPS研究所によれば、この不具合による業績への影響は現在詳しく調査中である。ただし、すでに契約済みの案件については、他の衛星を活用することで画像データの提供が可能であるとし、影響を最小限に抑える方針を示している。
一方で、投資家心理に与える影響は大きく、過去の不具合も再び注目を集めている。同社はすでに前期、6号機の技術的問題により特別損失を計上しており、衛星トラブルが続くことへの不安感が市場に広がっている。
今回の事態を受け、同社の事業運営体制や品質管理に対する投資家の視線が一層厳しくなるとみられている。特に、成長著しい宇宙ビジネス分野においては、信頼性と安定した運用が企業価値を左右する鍵となるだけに、同社が今後どのように対応策を講じるかが注目される。
また、QPS研究所のように、商用衛星サービスを展開する企業にとって、通信インフラの安定性は極めて重要である。衛星通信の障害は即座にサービス停止や納品遅延などに繋がり、顧客の信頼を損なうリスクも孕んでいる。
今回の不具合は、今後打ち上げ予定の衛星や開発中のプロジェクトにも波及する可能性があるため、早急な原因究明と再発防止策が求められている。
現在、QPS研究所は次世代小型衛星の開発にも取り組んでおり、今後の成長が期待されている企業であるだけに、今回のトラブルがその成長路線にどのような影響を与えるかについても注視が必要だ。