米動画配信大手ネットフリックス(Netflix Inc.)は、2025年第4四半期の決算を発表した。有料会員数の順調な増加と広告収入の飛躍的な伸び、そして堅実な運営体制が奏功し、市場の期待に応える力強い業績となった。世界190カ国以上でストリーミングサービスを展開する同社は、財務面での成功を背景に、2026年に向けたコンテンツ戦略でも攻めの姿勢を見せている。
会員増と広告事業の躍進
2025年第4四半期、ネットフリックスの有料会員数は遂に3億2500万人の大台を突破した。特筆すべきは、一時停滞していた会員のエンゲージメント(関与度)が再加速の兆しを見せている点だ。2025年後半には、オリジナル・ブランドのコンテンツ視聴数が9%増加し、年間の総視聴時間も前年比で2%の伸びを記録した。
収益の新たな柱として期待される広告部門も、目覚ましい成果を上げている。2025年の広告収入は前年比2.5倍以上の15億ドル超に達した。ウォルト・ディズニーやアマゾン・プライム・ビデオといった強力なライバルがひしめく激戦区にあって、ネットフリックスは技術力で差別化を図っている。特に、2025年から試験導入を開始したAI(人工知能)ツールの存在が大きい。これは自社の豊富な知的財産(IP)を活用して広告主向けにカスタム広告を生成するもので、2026年にはさらなる機能拡張が計画されている。また、キャンペーン計画の策定や広告コンセプトのワークフロー自動化にも高度なAIモデルを導入し、業務プロセスの大幅な迅速化を実現した。
盤石な財務基盤と2026年の見通し
こうした事業の好調さは数字にも明確に表れている。第4四半期の営業利益は前年同期比30%増の29億6000万ドルに達し、営業利益率は2ポイント上昇して24.5%となった。キャッシュフローも潤沢で、2025年12月31日時点の手元資金(現金および現金同等物)は約90億3000万ドル、同四半期のフリーキャッシュフロー(非GAAP)は前年同期の13億8000万ドルから18億7000万ドルへと拡大している。
会社側は2026年の見通しについても極めて強気だ。第1四半期の売上高は前年同期比15.3%増の121億6000万ドル、営業利益率は32.1%を見込む。さらに通期では、売上高507億〜517億ドル(前年比12〜14%増)を予想しており、会員増と価格改定、そして広告収入の倍増が寄与すると見ている。営業利益率のターゲットも2025年の29.5%から、2026年には31.5%へと引き上げられた。市場のアナリストらもこの成長軌道を高く評価しており、ザックス・コンセンサス予想では、今後3〜5年の長期的なEPS(一株当たり利益)成長率をS&P500平均の15.8%を上回る18%と予測している。
マドリードで明かされた野心的な新作ラインナップ
好調な決算を支える最大の要因である「コンテンツ」についても、新たな動きがあった。ネットフリックスはマドリードで大規模なイベントを開催し、2026年に配信予定のシリーズや映画のラインナップを披露した。
イベントのステージには、スペインの映像業界を牽引する著名人らが次々と登壇した。『The Final Problem』のホセ・コロナドやマリベル・ベルドゥ、『Gracias, equipo』のラウル・テホン、『Salvador』のルイス・トサール、『Murder in Galicia』のトリスタン・ウヨアらが自身の出演作を熱く語ったほか、カルメン・マチらによる『53 Sundays』やラファエルの『A Day Like No Other』など、多彩なジャンルの作品が紹介された。
中でも会場の注目を集めたのは、現在制作が進行している3つの新規プロジェクトだ。
一つ目は、ドキュメンタリー映画『Miguel Ángel Blanco: las 48 horas que lo cambiaron todo』。ジョン・システィアガとファンホ・ロペスが監督を務める本作は、テロ組織ETAによるミゲル・アンヘル・ブランコ殺害事件を扱った社会派作品だ。スペイン全土が息を呑んで見守った48時間と、社会が恐怖を乗り越えて連帯した歴史的瞬間を克明に描き出す。
二つ目は、実在の連続殺人犯を題材にしたミニシリーズ『Lobo』だ。19世紀のガリシア地方で「自分は狼男だ」と主張したマヌエル・ブランコ・ロマサンタの伝説に基づくミステリースリラーで、ルイス・トサールとトリスタン・ウヨアが共演する。
三つ目は、オリオル・パウロ監督による新作映画『En nombre de otro』。マリオ・カサス、ブランカ・スアレスらをキャストに迎えた、予測不能な展開が売りのスピーディーなスリラー映画である。
世界的なヒットシリーズも続々と
スペイン発のコンテンツに加え、世界中のファンが待ち望む人気シリーズの続編も2026年のラインナップに名を連ねている。『ピーキー・ブラインダーズ』の映画版(The Immortal Man)をはじめ、『ブリジャートン家』シーズン4、『ONE PIECE』シーズン2、『アバター:伝説の少年アン』シーズン2・3、『ルパン』シーズン4など、強力なIPが目白押しだ。