日本の株式市場は9日(水)、米国市場の大幅な下落を受けて全面安の展開となり、日経平均株価も大きく値を下げた。米中間の貿易摩擦が一段と激化し、世界経済の成長鈍化に対する懸念が広がっている。

日経平均株価は午前の取引終了時点で前日比2.62%安の32,147.04円となった。一時は約4%下落する場面もあったが、その後やや持ち直した。一方、東証株価指数(TOPIX)は2.1%下落し、2,380.84ポイントとなった。

この数日間、東京市場は激しい値動きを見せており、火曜日には前日から一転して6%の急反発を記録したばかり。しかしその前日の月曜日には7.8%もの急落となり、約1年半ぶりの安値に沈んでいた。

三井住友トラスト・アセットマネジメントのチーフストラテジスト、上野裕之氏は「投資家たちは、日経平均が今後どこまで下落するか見極めようとしている。底値を探る動きが続いている」とコメント。その上で、「今週に入り、日経平均は割安感のある水準まで下げてきた。市場は現在、月曜日の安値を再び下回るかどうかを注視している」と述べた。

こうした中、米国は中国に対して104%の関税を近く発動する予定であり、これが成長鈍化とインフレ圧力の高まりを招くとの懸念を強めている。これを受け、世界中の株式市場が下押し圧力を受けており、特にテクノロジー関連銘柄が売られている。

米国市場では、S&P500種株価指数が火曜日に大幅下落し、約1年ぶりに5,000ポイントを下回って取引を終えた。午前中は一時的に上昇する場面もあったが、投資家の間で関税発動の猶予や譲歩への期待が急速にしぼみ、売りが優勢となった。

日本市場でも同様の動きが見られ、特にテクノロジー株が下げを主導した。半導体試験装置メーカーのアドバンテストは6.64%安、半導体製造装置大手の東京エレクトロンも4.12%の下落となった。投資会社ソフトバンクグループは5.96%値を下げた。

さらに、安全資産への需要が高まる中で円高が進行し、輸出関連株にとって逆風となった。円相場は一時1ドル=145.13円まで上昇しており、為替の動きが日本企業の業績見通しに影響を与えている。

市場関係者の間では、今後も米中の貿易交渉や米国の関税政策の動向が、世界経済の成長シナリオに大きな影響を与えるとの見方が強まっており、投資家は引き続き警戒感を強めている。