米国政府が日本から輸入される自動車に対する関税を15%に引き下げる措置を16日(現地時間)から発効しました。これにより、これまで25%の関税率が維持されている韓国の自動車メーカーは、主要な競合相手である日本メーカーに対して厳しい価格競争を強いられることになり、業界内で懸念が広がっています。
米、日本製自動車への関税を15%に引き下げ
自動車業界の情報によると、米政府は16日から日本製自動車に対し15%の関税を適用します。これまで米政府は、輸入自動車に課す25%の関税に加え、日本からの輸入車に対しては追加措置を含め27.5%の関税を適用してきましたが、今年7月22日の日米間の最終合意を経て、このたび正式に引き下げが発効しました。
一方、韓国政府も7月31日に関税交渉を妥結したものの、細部における両国の意見の相違から、15%への関税引き下げがいつ適用されるかはいまだ不透明な状況です。
現代・起亜、価格競争力に懸念
米国市場は、韓国の現代自動車・起亜と日本のトヨタ、ホンダなどが激しく競合する重要市場です。現代・起亜はこれまで、比較的廉価で品質の高い製品を武器に市場シェアを拡大し、2021年にはホンダを抜いて米国市場5位に浮上、現在では4位まで順位を上げ、2位のトヨタを追撃しています。しかし、今回の関税措置により、これまでの価格優位性が失われ、不利な状況での競争を余儀なくされる可能性があります。
この影響で、米国で販売される現代の主力セダン「ソナタ」が、競合するトヨタの「カムリ」よりも高くなるという事態が現実のものとなりつつあります。価格を維持すれば収益性の悪化は避けられず、難しい経営判断を迫られることになります。
成長の柱ハイブリッド車にも影響
特に深刻な影響が懸念されるのが、現代・起亜の米国市場における成長の原動力となってきたハイブリッド車です。両社のハイブリッド車(HEV)の米国販売台数は、2021年の9万614台から昨年には22万2486台へと倍以上に増加。今年も1月から8月までの累計で前年同期比47.9%増の19万8807台を記録し、過去最高を更新する見込みです。
しかし、米国で販売されている「アバンテ(現地名:エラントラ)」や「ソナタ」のハイブリッドモデルは韓国で生産され、米国へ輸出されています。これに対し、トヨタやホンダは現地生産体制を確立しており、今回の関税差が直接的に価格競争力に影響を与えることになります。
部品の現地化率が招くコスト増
さらに、部品の現地化率の違いがコスト圧力を増大させる要因となっています。米道路交通安全局(NHTSA)のデータによると、2025年式のソナタ・ハイブリッドに使用される部品の90%が韓国製であるのに対し、カムリ・ハイブリッドの日本製部品の割合は30%に留まります。
このため、25%という高い関税率が適用され続けると、部品調達コストが大幅に増加し、ソナタ・ハイブリッドの収益構造はさらに悪化することが避けられない見通しです。業界の試算では、関税引き下げの適用が1ヶ月遅れるごとに、約2100億ウォン(約230億円)の追加損失が発生するとされています。
キャピタル・リサーチ、東京精密の株式保有比率を引き下げ
一方、東京証券取引所プライム市場に上場する株式会社東京精密(証券コード:7729)に関して、米資産運用大手のキャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーが財務局に提出した大量保有報告書の変更報告書により、同社の株式保有比率が減少したことが明らかになりました。
報告書によれば、提出理由は「株券等保有割合が1%以上減少したこと」によるものです。これにより、キャピタル・リサーチ社の東京精密に対する株式保有比率は、従来の比率から1.73%減少し、3.29%となりました。
