日本の回転寿司チェーン「スシロー」が、中国で着実に人気を拡大している。中国政府が日本産水産物の輸入を全面禁止している中でも、多くの消費者がスシローの手頃な価格に魅力を感じ、行列を作るほどの支持を集めている。経済不況の影響で消費を抑える動きが広がる中、同店には長時間待ってでも寿司を味わいたいという客が後を絶たない。

昨年8月に北京に初出店した際には、一部の客が10時間以上待つほどの盛況ぶりを見せた。現在でも週末には最大8時間待つケースがあるという。チェーンの運営会社によると、1月29日に北京で4号店が開業した際には、春節(旧正月)の初日にもかかわらず、3時間以上の行列ができた。

「リーズナブルな価格」が高級店の空白を埋める

北京市内の店舗を訪れた37歳の男性客は、「経済不況の影響で多くの高級日本食レストランが閉店している中、スシローは手頃な価格で寿司を提供し、市場のニーズを満たしている」と語る。

中国政府は、2023年8月に東京電力福島第一原発から処理水が放出されたことを受け、日本産水産物の輸入を全面禁止した。このため、スシローの中国店舗では日本産以外の食材を使用している。それでも、消費者の支持は衰えず、同チェーンは拡大を続けている。

中国市場での成長と今後の展望

スシローは2021年に中国南部の広東省で初出店して以来、店舗数を急速に拡大。2024年1月時点で、中国国内の店舗数は49に達している。

スシローの現地運営会社の幹部である松田一成氏は、「新型コロナウイルスの影響や処理水の問題で苦戦した時期もあったが、現在では多くの消費者に受け入れられている」と語り、中国国内でさらなる店舗拡大を検討していることを明らかにした。

また、同じく日本の回転寿司チェーン「はま寿司」や「くら寿司」も中国で展開しており、日本の寿司文化は今後も中国市場で存在感を高めていきそうだ。