最近、派遣やアルバイトの現場で、以前は見かけなかった中高年男性、いわゆる「おじさんたち」が増えていることに気づいている人も多いのではないでしょうか。かつてホワイトカラーとして企業で働いていた彼らが、副業や新しい働き方を模索している背景には、45歳定年制の導入やジョブ型雇用の普及、新型コロナウイルスのパンデミックなど、さまざまな要因があります。長寿命化が進む現代において、人生100年時代と言われる中、中高年層の男性たちは、厳しい労働市場の中で生き残るために、新たな方法を模索し始めています。その中でも注目されているのが「せどり」という副業です。
せどりの基本:安く仕入れて高く売る
「せどり」とは、簡単に言えば「安く商品を仕入れて、それを高く売る」というビジネスモデルです。この手法自体は、商売の原理原則に基づいたものですが、インターネットの普及により、せどりの実践がこれまで以上に簡単になりました。たとえば、メルカリやヤフオクなどで中古の本や商品を安く購入し、それをアマゾンや他のプラットフォームで販売することで利益を得るのが一般的な流れです。
この副業は、特に資金を持たない人々にとって魅力的です。大量の在庫を持つ必要もなく、自宅の一部を利用して商品を管理できるため、初期投資が比較的少なく、始めやすい点が特徴です。そのため、今や多くの人がこのビジネスに挑戦しており、「月10万円以上稼ぐ」といった成功事例が数多く報告されています。
副業としてのせどりの魅力
せどりの最大の魅力は、その柔軟性にあります。時間や場所に縛られることなく、自分のペースで商品を仕入れて販売できるため、副業として取り組みやすいのです。また、フルタイムの仕事を持っている人にとっても、せどりは週末や空き時間を活用して収入を得る手段として最適です。
特に、会社でのキャリアが終わりを迎えつつある中高年層にとって、再就職が難しい現状があります。そのため、「せどり」は新たな収入源として、彼らの注目を集めています。多くの人が、退職後の第二のキャリアとしてこの副業に挑戦しており、自分自身で収入を確保する手段として選んでいます。
「せどり」のリスクと注意点
しかし、せどりにはリスクも存在します。まず、すべての商品が必ずしも売れるわけではないため、在庫を抱えるリスクがあります。また、販売手数料や送料、商品の仕入れ価格などをしっかりと計算しなければ、利益が思ったより少なくなることもあります。さらに、競争が激化しているため、せどりで成功するためには商品選びのセンスや市場のトレンドを読む力が必要です。
また、法律的な側面でも注意が必要です。せどりを行うためには、場合によっては「古物商許可証」を取得する必要があります。この許可証を持っていないと、警察からの指導や罰則を受ける可能性もあります。許可を取得するためには、1万9000円の申請料が必要ですが、これを取得すれば、合法的にせどりを行うことができるようになります。さらに、コピー商品や高額転売、酒類などの販売は禁止されているため、これらのルールを守ることが重要です。
セドラーたちの実態
実際にせどりに取り組んでいる「セドラー」たちは、どのようにして稼いでいるのでしょうか。YouTubeやブログなどで成功者の声を聞くことができますが、彼らの多くは、リサーチと努力を惜しまない人たちです。どの商品が需要があり、どこで安く仕入れることができるのかを常に調査し、効率的にビジネスを回すための工夫を凝らしています。
例えば、中古の本や家電製品、ファッションアイテムなど、さまざまなジャンルの商品がせどりの対象となりますが、特に人気が高いのは、コレクターズアイテムや希少な商品です。これらの商品は、時には購入価格の何倍もの値段で売れることがあり、大きな利益を生み出す可能性があります。
また、せどりにはスキルも必要です。商品の写真を撮る技術や、商品説明を書く力、発送作業の効率化など、さまざまな作業が必要となります。特に、顧客対応やレビュー管理においては、信頼を築くことが重要です。良いレビューが多いセドラーは、再購入やリピーターが増え、安定した収益を得やすくなります。
まとめ:せどりの未来と中高年層への影響
「せどり」は、インターネットとスマートフォンの普及により、誰でも簡単に始められるビジネスとして人気を集めています。特に、中高年層にとっては、定職を失った後でも新しい収入源として、せどりは非常に魅力的な選択肢となっています。しかし、その成功には、市場調査や商品の選定、法的なルールの遵守が不可欠です。