円安や物価上昇の影響を受け、全国的に賃上げの機運が高まっている中、地方自治体でも給与改定の動きが加速しています。地方公務員の給与は、地域ごとに異なるものの、全体で約280万人が働く中、最新のランキングが発表されました。東洋経済オンラインがまとめたデータによると、2023年4月1日時点の地方公務員(一般行政職)の平均年収が示されています。
このランキングは総務省の「地方公務員給与実態調査」をもとに、月ごとの平均給与に加え、期末手当や勤勉手当も含めて算出したものです。ただし、寒冷地手当のような地域特有の手当は含まれていません。
佐倉市がトップ、年収760.4万円に
2023年度の1位は千葉県佐倉市で、平均年収は760.4万円となりました。前年の699万円から約60万円も増加しており、これは日本全体のトレンドに沿った増加と言えるでしょう。佐倉市内のニュータウン「ユーカリが丘」は50年以上にわたる開発が進んでおり、今もなお人口が増加している点で注目されています。
2位と3位も年収アップ傾向に
2位は神奈川県厚木市で、平均年収は754.3万円です。前年の721.6万円から約30万円の増加が見られ、こちらも賃上げの動きが反映されています。続く3位には川崎市がランクインし、平均年収は746.5万円でした。川崎市は、人口約155万人の大都市で、全国的な人口減少傾向の中で増加傾向にあるベッドタウンの1つです。
都市による年収の差はどうして生じるのか?
地方公務員の年収は、自治体ごとの差が大きくはありませんが、上位には生活コストが高く、財政に余裕のある都市が並ぶ傾向があります。給与水準には各自治体の職員の平均年齢が大きく関係しており、特に年功序列型の賃金体系を採用している公務員では、年齢が上がるほど給与が増える仕組みとなっています。
ランキング上位の自治体は、年齢層が高く、給与もそれに比例していることが見受けられます。このため、若年層が多い自治体と比べて、平均年収が高くなる傾向にあるのです。
また、自治体ごとの財政状況も影響しており、経済的に余裕のある自治体ほど、給与の増加に積極的に取り組む余力があることが伺えます