新たな油ガス資源の発見
英国のエネルギー企業bp(ビー・ピー)は、ブラジル沖のサントス海盆に位置するBumerangue(ブメランゲ)探鉱鉱区において、大規模な炭化水素資源の発見を発表しました。これは同社にとって過去25年間で最大規模の発見となります。
探鉱井「1-BP-13-SPS」は、リオデジャネイロから404キロメートル離れた水深2,372メートルの海底において掘削され、総掘削深度は5,855メートルに達しました。貯留層は構造の頂部から約500メートル下にあり、500メートル超の厚さを持つ高品質のプレソルト炭酸塩岩層にて、300平方キロメートル以上にわたる広がりが確認されました。
高濃度CO₂の存在と今後の分析
掘削現場での初期分析によると、この貯留層には通常よりも高濃度の二酸化炭素(CO₂)が含まれていることが明らかになりました。bpは現在、貯留層と流体の詳細な性質を明らかにするためのラボ分析を開始しており、これによってブメランゲ鉱区の開発可能性を評価する方針です。さらに、今後の探鉱評価活動も規制当局の承認を前提として計画されています。
探鉱の背景とbpの戦略
bpは、このブロックに100%の権益を保有しており、生産分与契約の管理はPré-Sal Petróleo S.A.が担当しています。この鉱区は、2022年12月にANP(ブラジル国家石油庁)の生産分与オープン・アクレージの第1回入札サイクルにて、極めて好条件で取得されました。
同社の生産・運営担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるゴードン・ビレル氏は、「今回の発見は、bpにとって過去25年間で最大であり、非常に重要な成果です。今年は探鉱部門にとって記録的な年となっており、私たちの上流事業拡大への意欲を改めて示すものです。ブラジルはbpにとって戦略的に重要な国であり、ここに競争力のある生産拠点を築くことを目指しています」と述べました。
bpのグローバル探鉱成果と株式市場の反応
ブメランゲは2025年におけるbpの10件目の探鉱成功事例です。これまでに、トリニダードのBerylとFrangipani、エジプトのFayoum 5およびEl King、アメリカ湾のFar South、リビアのHasheem、そしてブラジルのAlto de Cabo Frio Centralなどでも油ガス田の発見を公表しています。加えて、bpとイタリアのEniが共同で設立したAzule Energyは、ナミビアおよびアンゴラでも資源を発見しました。
この発見の報道後、bpの株価はロンドン市場で1.3%上昇し、ヨーロッパのエネルギー企業全体の指数(SXEP)の上昇率0.1%を上回るパフォーマンスを示しました。
経済性の懸念と外部からの指摘
一方で、ブラジル国営石油会社ペトロブラスの元CEOであるジャン・ポール・プラテス氏は、自身のSNSで「ブメランゲ鉱区は有望かつ戦略的に好位置にあるが、関連ガスに含まれるCO₂が高濃度であれば、経済的な開発が困難になる可能性がある」と警告しています。彼はまた、「bpはまだCO₂濃度の具体的な数値を公表しておらず、これが最終的にこの鉱区の事業性を左右するだろう」と指摘しました。
現在のところ、bpはこの経済的実現性に関する質問に対し公式なコメントは出していません。
今後の展望
bpは再生可能エネルギーからの戦略転換を進めており、今回の発見はその一環として重要な意味を持ちます。特に、かつてのシャー・デニズ(1999年、アゼルバイジャン沖)以来の大規模発見となる可能性が高く、同社の上流ポートフォリオの寿命を2030年代から2040年代まで大きく延長させる可能性があるとアナリストらは見ています。